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大阪高等裁判所 昭和58年(ネ)497号 判決 1985年3月14日

第四九七号事件控訴人・第四〇三号事件被控訴人(以下「原告北条」という。)

北条義人

同(以下「原告西上」という。)

西上勝光

右両名訴訟代理人

芝康司

山本寅之助

森本輝男

藤井勲

山本彼一郎

松村信夫

第四〇三号事件控訴人(以下「被告東」という。)

東武夫

第四〇三号事件控訴人・第四九七号事件被控訴人(以下「被告会社」という。)

岸部石油株式会社

右代表者

岸部賢司

右両名訴訟代理人

水谷保

第四九七号事件被控訴人(以下「被告晴好」という。)

伏井晴好

同(以下「被告大生」という。)

伏井大生

右両名訴訟代理人

望月一虎

主文

一1  第一審原告北条の第一審被告会社に対する控訴、第一審被告東の第一審原告西上に対する控訴及び第一審被告会社の各控訴を、いずれも棄却する。

2  第一審原告北条の第一審被告会社に対する控訴費用は第一審原告北条の、第一審被告東の第一審原告西上に対する控訴費用は第一審被告東の、第一審被告会社の第一審原告両名に対する各控訴費用は第一審被告会社の、各負担とする。

二  第一審原告北条の第一審被告晴好に対する控訴、第一審原告西上の各控訴及び第一審被告東の第一審原告北条に対する控訴に基づき、原判決中、第一審原告北条の第一審被告晴好及び同東に対する請求、並びに第一審原告西上の第一審被告晴好、同大生及び同会社に対する請求に関する部分を次のとおり変更する。

1  第一審被告晴好及び同東は、各自、第一審原告北条に対し、三三万二六八〇円とそのうち三〇万二六八〇円に対する昭和五四年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  第一審被告晴好及び同会社は、各自、第一審原告西上に対し、二〇〇二万七二五一円とそのうち一八五二万七二五一円に対する昭和五六年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  第一審被告大生は、第一審原告西上に対し、二二万円とこれに対する昭和五四年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  第一審原告北条のその余の請求、並びに第一審原告西上の第一審被告晴好及び同会社に対するその余の請求を、いずれも棄却する。

5  第一審原告北条と第一審被告晴好・同東との間に生じた訴訟費用は第一、二審を通じこれを七分し、その六を第一審被告晴好・同東の連帯負担とし、その余を第一審原告北条の負担とする。第一審原告西上と第一審被告晴好・同会社との間に生じた訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告晴好・同会社の連帯負担とする。第一審原告西上と第一審被告大生との間に生じた訴訟費用は第一、二審を通じこれを三分し、その二を第一審被告大生の負担とし、その余を第一審原告西上の負担とする。

三  この判決は、二の1ないし3に限り、仮に執行することができる。

事   実≪省略≫

理由

一当裁判所は、原告らの本訴各請求中、(1)原告北条が被告晴好・同東・同会社に対し各自三三万二六八〇円とそのうち三〇万二六八〇円に対する昭和五四年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分、(2)原告西上が被告晴好・同会社に対し各自二〇〇二万七二五一円とそのうち一八五二万七二五一円に対する昭和五六年四月一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分、(3)原告西上が被告大生・同東に対し各自二二万円とこれに対する昭和五四年九月二〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は、いずれも理由があり認容すべきであるが、(4)原告北条及び同西上のその余の各請求はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加・訂正・削除するほか、原判決の理由に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一九枚目表七行目の「七号証」の次に「九号証ないし一一号証、」を、同一二行目の「弁論の全趣旨」の前に「昭和五四年九月二〇日に伏井車を撮影した写真であることに争いのない検乙一ないし三号証、同月二七日に伏井車を撮影した写真であることに争いのない同四号証、」を、それぞれ加える。

2  同二〇枚目表一三行目の「進路前方」の次に「直前」を加える。

3  同二〇枚目裏一〇行目の「始めたところ」から一二行目の「制動をかけ」までを削る。

4  同二一枚目表一行目の「ものの」を「後」に改める。

同三行目の「西上車」の前に「進路前方対向車線中央付進を対向直進してきた」を加える。

5  同二二枚目表七行目の「ハンドル」の次に「右部」を加える。

6  同二二枚目裏二行目の「部」を「の高さ〇・七メートルと〇・七九メートルの部分」に改める。

同五行目の「端」の次に「から五三センチメートル左部分」を、同六行目の「バンパー」の次に「角から五三センチメートル左」を、同一〇行目の「グラムであ」の次に「り、西上車の幅は七八センチメートル、車量一八〇キログラムあ」を、それぞれ加える。

7  同二四枚目表一二行目の「するため」の次に「時速一〇キロメートル位に速度を下げ」を加える。

8  同二四枚目裏一〇行目の「停止中」の前に「中央線を少し越えて」を加える。

9  同二五枚目表三行目の「ど」を削る。

同一〇行目の「旨述べ」の次に「更に、昭和五五年六月一八日の検察官による供述録取時には、被告大生が右にハンドルを切つて中央線に寄つて行つたとき、対向車線上約四〇メートル前方を時速五〇ないし六〇キロメートルの速度で南進してくる西上車に気付いて危ないと思いブレーキを踏み、伏井車の右前部が中央線を少しはみ出て止つた、七・三メートルは西上車が二人乗りであることに気付いたときの距離であり、司法警察員にもその旨説明したが取り上げてくれなかつた、伏井車が停止した直後ハンドルを右に切つた状態でブレーキをゆるめたときに東車に追突され、西上車の進路上に約一・二メートル押し出され、西上車と衝突したと述べ、本件訴訟においても右検察官に対する供述と同旨の供述をし、伏井車が停止した位置は中央線から三〇ないし四〇センチメートルはみ出したところであり、伏井車が停止してから東車に追突されるまでの時間は三秒であると述べ」を加える。

10  同三二枚目表一三行目の「その角度」の前に「伏井車と東車の位置関係から四五度位の角度からの一度の追突によつては東車前部の損傷と伏井車後部の損傷を説明することができないとする成立に争いのない乙七七号証に対比すると、」を加える。同行目の「容易は」を「容易に」と改める。

11  同三三枚目表八行目の「前記」の前に「前掲乙七七号証、弁論の全趣旨により成立の認められる丙七号証の一によると、」を、同一一行目の「むしろ」の前に「力学上東車に時速数キロメートルないし二〇キロメートル位の速度があれば伏井車は追突により相当前方に押し出され得ると認められることなどを考え合わせると、」を、それぞれ加える。

12  同三四枚目表一行目の「進路前方」の次に「直前」を加える。

13  同三七枚目表一二行目の「対向西上車を認めて」を削る。

14  同三七枚目裏七行目から同三八枚目表二行目までを次のとおり改める。

「ところで、前記衝突と追突の前後関係についての被告大生の供述の変遷についてみたとおり、被告大生が西上車を最初に発見した地点についての被告大生の供述も変遷しており、「西上車に最初に気付いた時の距離は四〇メートルであり、実況見分ないし警察官の取調べの際に七・三メートルは西上車が二人乗りであることに気付いた時の距離であると被告大生が説明しても、担当の警察官が被告大生のその旨の供述を取り上げてくれず、西上車に最初に気付いた時の距離を七・三メートルとして調書が作成された。」との前掲乙五一号証と被告大生の証人尋問における供述は、前掲乙七号証、二五号証に対比すると容易に採用し難い。前掲乙五一号証や証人尋問における被告大生の供述のとおり、西上車に最初に気付いた時の距離が四〇メートルもあれば危険を感ずる必要もなく、時間的にも位置的にも余裕をもつて西上車の通過を待てた筈であり、被告大生が西上車に気付いた時の距離が四〇メートルあつたとの被告大生の供述そのものも容易に採用し難い。他に被告大生が西上車を最初に発見した地点を認めるに足りる証拠はなく、被告大生が当初の供述のとおり七・三メートルに接近するまで西上車に気付かなかつた可能性、ひいては、被告大生が漫然と減速し停止後更に発進して右折を続行しようとし、西上車に気付くのが遅れた可能性を否定することができない。なお、東車が伏井車に追突したのは伏井車・西上車の衝突の前とする前掲乙七七号証は、伏井車の損傷を現認することなく、前掲検乙一ないし四号証と伏井車と同型の車両とを対照することにより伏井車後部右側面フェンダー部の二つの凹痕の角度を二〇度位と四五度位と推測し、その推測を前提に東車と伏井車との接触が一度であれば両車の損傷痕は二〇度位の角度による追突で説明するほかなく、二度の接触があつたとすれば最初二〇度位の追突があり二度目に四五度位の追突があつたものと推測し、更に最初の追突で伏井車を押し出し、そのとき西上車との衝突があつたとすれば、伏井車は押し戻されるように右まわりするから角度は大きくなり、再び追突後の残速で前進した東車と接触することになる旨本件事故の経過を推定しているもので、伏井車の凹痕の角度の推測がどの程度正確かはつきりしないばかりか、伏井車と東車とが追突痕が生ずる程強く二度追突したと認定するに足りる証拠もなく、その記載内容から明らかなように、伏井車が東車に追突された後に西上車と衝突したこととして説明できることを示したに過ぎず、伏井車が西上車と衝突後に東車に追突された可能性を否定する証拠としては採用し難い。」

以上のとおり改める。

15  同三八目表三行目と四行目をを「一方」に改める。

16  同三八枚目裏七行目から八行目にかけての「ものと認めるのが相当である。」を次のとおり改める。

「可能性を否定できない。なお、被告東・同会社の当審における主張1ないし3は、前掲乙一六ないし一九号証の実況見分調書、丙七号証の一及び弁論の全趣旨により成立の認められる丙八号証を前提にしているが、本件事故当日に行われた実況見分の結果作成された乙一七号証でも、実況見分の際には前記2、3認定のとおり、伏井車や東車は事故現場から移動しており、伏井車や東車の位置関係に関する記載は、現実の位置関係ではなく、被告大生の指示説明に基づくものに過ぎず、その後に行われた実況見分によつて作成された乙一六号証と乙一八号証の各車両の位置関係に関する記載も目撃者林正と被告東の指示説明に基づくものであつて、いずれにしても微妙な位置関係まで正確に記載されているとは認められず、追突角度四〇度とする乙一九号証にも東車の損傷の位置などから四五度位の追突一度だけでは説明できないとする前掲乙七七号証に対比して疑問がある。東車の追突によつて伏井車が道路直角方向に押し出される量が一八センチメートル程度のものとする前掲丙七号証の一も、東車が時速二〇キロメートル・追突角度約四〇度で追突しその結果伏井車が同一地点で重心を中心として回転することを前提にしているが、東車の追突速度が時速二〇キロメートルであつたことを認めるに足りる証拠はなく、前掲乙七七号証及び伏井車は移動しつつ回転すると考えるべきであるとする弁論の全趣旨により成立の認められる乙七八号証に対比すると容易に採用し難い。また、弁論の全趣旨により成立の認められる丙八号証も前掲乙一六ないし一九号証記載の各車両の位置関係を前提としているが、前述のようにその微妙な位置関係まで正確であるとは認められないので、容易に採用し難い。他に同被告らの前記当審における主張1ないし3を認めるに足りる証拠はない。

してみると、伏井車が一旦停止後に西上車の進路直前に進出した原因としては、被告大生が伏井車を発進させたためか、同車が東車から追突され押し出されたためか、その双方が競合したためかであると認められるが、そのいずれであるかを確定することはできない。」

以上のとおり改める。

17  同三八枚目裏一三行目の「た際」から同三九枚目表二行目の「かけ」までを削る。

18  同三九枚目表八行目の「伏井」から同三九枚目裏一三行目までを次のとおり改める。

「伏井車が更に西上車の進路直前に進出してきたため、伏井車の右前角部と西上車の前部が南行車線中央付近で激突し、西上車は進行方向左斜の前方に飛ばされて転倒し、原告西上及び同北条はさらに前方に投げ出されて転倒したものと認められる。しかし伏井車が一旦停止後に西上車の進路直前に進出した原因については、被告大生が西上車の接近に気付かず漫然と伏井車を再発進させたためか、伏井車に後続していた被告東が事故現場から更に北方にある交差点の信号機に気をとられ、伏井車が右折のため指示器を出して減速停止したのに直ちに気付かず、その後方一一・五メートルに接近して初めて停止中の伏井車を発見し急制動をかけたが及ばず、伏井車の右後角部に東車右前部を追突させ伏井車を押し出したためか、或いはその双方が競合したためか、そのいずれかであると認めることができるが、そのいずれであるかを確定することはできないといわなければならない。

ところで、特定された複数の行為者のうちの誰かの行為により損害が発生したことは認められるが、誰の行為によつて損害が発生したかを確定することができない場合に、各行為者の加害行為と損害発生との間の因果関係が不明であるとし、結局いずれの行為との間の因果関係も存在しないとして賠償責任をすべて否定するのは、行為者が一人である場合にこれを肯定されるのと対比すると、公平を欠くと考えられる。民法七一九条一項後段は、このような不公平を避け被害者を保護するために、前者の場合においても、当該複数の行為者のうち行為と損害発生との因果関係の不存在を立証した者を除き、当該特定された複数の行為者が被害者に対し連帯して賠償の責に任すべきものとし、損害の公平な分担を目的とする損害賠償制度の趣旨に則り、政策的に因果関係の存在を推定した規定であると解するのが相当である。

してみると、前記認定の本件における事実関係のもとにおいては、原告らが転倒により負傷したため被つた損害と伏井車・東車の各運行との間に因果関係の存在を推定すべきである。」

以上のとおり改める。

19  同四〇枚目裏三行目の「途」から四行目の「伏井車は」までを「ため」に、同六行目の「が、原告」から同四一枚目表一二行目までを「後、西上車の接近に気付かず漫然と更に発進した過失の存在を否定できず、被告晴好の抗弁1は理由がなく、被告晴好は自賠法三条の運行供用者責任を免れない。」に、それぞれ改める。

20  同四二枚目裏五行目の次に行を変え、次のとおり加える。

「6 過失相殺

前掲乙一〇号証によると西上車の定員は二人であり、西上車が二人乗りであつたことはとがめるべきでないし、西上車が制限速度時速四〇キロメートルのところを時速約五〇キロメートルで南行車線の中央付近を走行していたことは前記一2認定のとおりであるが、停止していた伏井車が西上車の進路直前に出てくることを原告西上が予想することは不可能であり、たとえ西上車の速度が制限速度以下であつても、伏井車との衝突は避けられなかつたものというべく、走行車線の中央付近を走つたことも特に非難すべきものではなく、原告らには過失相殺の対象となるような過失の存在は認められず、被告晴好の抗弁2も理由がない。」を加える。

21  同四二枚目裏六行目の「二七万一九五〇円」を「五七万一九五〇円」に、同八行目と一〇行目の各「六万円」をいずれも「三万円」に、それぞれ改める。

同七行目の次に「なお、被告晴好の主張する治療費と看護料が原告北条の本訴請求と関係がないことは、その請求原因から明らかである。」を加える。

同一二行目の「に対し」を「及び同晴好に対し、各自」と改める。

22  同四三枚目表一行目の「六六万二六八〇円」を「三三万二六八〇円」に、同二行目の「六〇万二六八〇円」を「三〇万二六八〇円」に、同七ないし九行目を「すべきである。」に、それぞれ改める。

同五行目の「被告東に対する」と同行目から六行目にかけての「及び被告晴好に対する請求」を、いずれも削る。

23  同四四枚目裏一行目の「し、訴」から四行目までを「すべきである。」に改める。

24  同四七枚目表六行目の「一八六七万六四五四円」を「二三四九万五三八〇円」に、同七行目の「一四九万〇七〇〇円」を「一九九万二三〇六円」に、同一三行目の「については」から同四七枚目裏三行目の「ないもの」までを「と、請求原因3(六)のとおり一九九万二三〇六円」に、同四行目の「一七一八万五七五四円」を「二一五〇万三〇七四円」に、それぞれ改める。

25  同四八枚目表一行目の「三分の一程度」から八行目の「下らないもの」までを「四五%を喪失し、高校卒業後昭和五七年四月一日(一九才五か月)から四八年間就労可能とみるのが相当であり、その逸失利益の昭和五六年四月一日を基準とする現価は、前記旧中新高卒一八ないし一九才の平均給与額二〇九万二一〇〇円に右喪失割合四五%を乗じ、これに就労終期五〇年に対応する新ホフマン係数二四・七〇一九から就労開始一年後までの二年間に対応する同係数一・八六一四を控除した係数二二・八四〇五を乗じた二一五〇万三〇七四円」に、同九行目の「一八六七万六四五四円」を「二三四九万五三八〇円」に、それぞれ改める。

26  同四八枚目裏二行目の「二七六五万一四七五円」を「三二四七万〇四〇一円」に改める。

同二行目の次に行を改め次のとおり加える。

「9 過失相殺 前記第一(甲事件)の四6の認定と同様」

同三行目の「一三九三万〇九一〇円」を「一三九四万三一五〇円」に改める。

同四行目の次に「なお成立に争いのない乙七一号証の一ないし三及び弁論の全趣旨によると、原告西上は右自認している一三九三万〇九一〇円のほかに、シューズ代として一万二二四〇円を受取つていることが認められる。しかし、成立に争いのない乙七七号証の一ないし七によると、被告晴好主張の治療費一五一万〇四〇四円は、本件事故日から昭和五五年一〇月二日までのものであり、原告西上の請求する昭和五六年八月一七日から同月三一日までの治療費と関係がないことが認められる。また、被告晴好主張の看護料一二万六〇〇〇円は、原告西上が受領を認めて請求から除外している二八〇〇円の四五日分の一二万六〇〇〇円であることが、丙事件についての請求原因3(四)の主張より明らかである。したがつて、填補額は合計一三九四万三一五〇円になる。」を加える。

同五行目と七行目の各「一三〇万円」をいずれも「一五〇万円」に改める。

同九行目の「に対し」を「及び同晴好に対し、各自」と改める。

同一一行目の「一五〇二万〇五六五円」を「二〇〇二万七二五一円」に、同一二行目の「一三七二万〇五六五円」を「一八五二万七二五一円」に、それぞれ改める。

27  同四九枚目表二行目の「被告会社に対する」と、同三行目の「及び被告晴好に対する請求」を、それぞれ削る。

同四行目の「し、訴訟」から六行目までを「すべきである。」に改める。

28  同四九枚目裏一行目ないし九行目を次のとおり改める。

「本件事故の態様は前記第一(甲事件)の一2、3認定のとおりであつて、伏井車が一旦停止後に西上車の進路直前に進出した原因は、被告大生が伏井車を発進させたためか、東車から追突され押し出されたためか、その双方の競合によるものかのいずれであると認められるが、そのいずれであるかを確定することはできない。してみれば、民法七一九条一項後段により、被告大生・同東の双方の運転行為と本件事故による損害発生との間に因果関係の存在を推定するべきである。

そして、右因果関係の存在が推定されることにより、被告大生の運転行為には西上車の接近に気付かず満(ママ)然と発進し右折を再開し対向車線に更に進出した過失が被告東の運転行為には先行する伏井車の動静に対する注視を怠り右折のための指示器を出したうえ対向車線上に右斜めに進入して停止した伏井車に対する対応を過つた過失が存在するというべきである。」

以上のとおり改める。

29  同五〇枚目裏八行目の「に対し」を「及び同大生に対し、各自」と改める。

同一二行目の「し、被告東」から同五一枚目表二行目までを「すべきである。」に改める。

二よつて、(1)原告北条の被告会社に対する控訴、被告東の原告西上に対する控訴及び被告会社の各控訴はいずれも理由がないので棄却し、(2)原告北条の被告晴好に対する控訴、原告西上の各控訴及び被告東の原告北条に対する控訴に基づき、原判決を主文二のとおり変更することにし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条、九三条、九五条、九六条を、仮執行の宣言について民訴法一九六条を、各適用して、主文のとおり判決する。

(栗山 忍 河田 貢 松尾政行)

別紙一、二、三<省略>

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